合法性と帝国ーー台湾を事例とした日中関係における”正義”をめぐる戦い Legality and Empire: The Battle for "Justice" in Japan-China Relations in Taiwan
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Authors
Kushner, B
Abstract
戦争とは、境界線を尊重するものではなく破壊するもの
である。対照的に戦争の終結とは、主としてそれらの境界
を物理的に全く違った場所に再構築することである。その
ように境界が移動することで、戦争終結から戦後までの間
に実際には何が起きたのかが隠蔽され、我われの想定は妥
当性を失ってしまう。台湾人作家の呉濁流が述べたよう
に、日本が降伏して後のポスト帝国時代という混乱のなか
で台湾人は実質的に歴史から忘れ去られ、 歴史の陥穽
に陥った。彼らのアイデンティティと物語は、大日本帝国
の突然の崩壊とともに消え去っ
〉 〈
た。第二次世界大戦に関す
る西洋史のベストセラーでは、ヤン・キョンジョンの究極
的な事例を引用しつつこの破綻が強調され
〉 〈
る。ヤンは朝鮮
人として生まれたが、日本統治下の朝鮮で大日本帝国の臣
民として徴兵され、のちにソ連の捕虜となり赤軍に従軍し
た。さらに捕虜としてドイツ軍に徴用され、第二次世界大
戦終盤のヨーロッパ戦線においてアメリカ兵に投降した。
著名な歴史学者であるアントニー・ビーヴァーは、忠誠心
を民族性と安易に結びつけて語ることの危うさを、ヤンを
事例として検証している。ただ東アジアを研究する者に
とって、ヤンのストーリーはそれほど動揺すべきものでは
ない。
Description
Keywords
Journal Title
中国21
Conference Name
Journal ISSN
1342-8241
Volume Title
45
Publisher
Aichi University Contemporary Chinese Society
Publisher DOI
Sponsorship
European Research Council (313382)